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第10話 UC.0079.09.14<パーティ>

パーティは大騒ぎだった。
場所はジャブロー施設内のバー(ジャブローは地下にあり、場所もアマゾンなので外に飲みに行くわけにはいかない。基地内にはこういった娯楽の施設も当然ある)を貸切にして、シミュレーションルームの関係者だけのパーティにしたのだが、それが間違いだった・・・せめて頭の固い上官でも居れば、もう少しおとなしく飲むんだろうが・・・

アーロン 「中尉・・・・」

ジャック 「あぁアーロン。飲んでるか?」

アーロン 「聞きましたよ。結婚のことに気を使って、ジャブローに残るようにしていただいたと・・・」

ジャック 「・・・まぁ、ココにいたから安全ということでもないからな。だが、わざわざ戦場に出向く必要もないだろう・・・お前なら、優秀なパイロットを育ててくれそうだしな。」

ウォーレン 「アーロン、飲んれるかぁ~。オマェの結婚もついでに祝うろー。」
アーロン 「・・・・・出来上がってますね・・・・」

ジャック 「すでにヘベレケだな・・・アイツ酒弱かったんだ・・・。まぁそういうことだから、気にするな。」

グレッグ 「ようジャック、飲んでるかぁ。お前さんが主役なんだから・・・」

ジャック 「あぁ、さすがにこの歳であそこまでバカは出来んがね・・・」

目線の先のテーブルの上では、ウォーレンとジャミルが裸踊りを始めている。
グレッグの影に隠れるようにしていたソフィが呟く。

ソフィ 「普段のイメージとは大分違うわね・・・」

ジャック 「パイロットって奴らは、いつ死ぬかわからん生活が普通だからな。戦争中じゃなくても、訓練中に死ぬこともある。その分、騒げる時に騒いでおこうってことさ。まぁ、戦争中で久しぶりってのもあるんだろうけど・・・」

グレッグ 「ルナ2に行ったら、こんなパーティも出来ないんだ。今のうちに楽しんどけ。」

ソフィ 「そうなの?」

ジャック 「あぁ、ルナ2は宇宙で唯一の連邦軍の拠点だからな。その分補給もままならない。パーティの食材よりミサイルや弾薬が優先される。食料なんかはサイド7経由で調達しているが、なかなか簡単には・・・」

ジャック 「それより、明日サイド7に出航するホワイトベースとかいう新造艦。なんで俺たちはアレでルナ2に行かないんだ?」

ソフィ 「さぁ、詳しいことは聞いていないけど・・・どうも幾つかのプロジェクトが、別々に進行しているらしくって。私たちもそのプロジェクトの1つなんだろうけど、あっちのプロジェクトが何のためにテスト機をジャブローに持ち帰るのか聞いていないし・・・ココ以外でも新型モビルスーツを開発してるって噂もあるくらいだから・・・」

ジャック 「まぁ、あの様子じゃあ、明日出航って言われても・・・・」

二人の目線の先に、パンツ一丁でイビキをかいているウォーレンがいる。

ソフィ 「それよりジャックは何故、軍に入ったの?」

ジャック 「んっ?何だよ急に」

お祭り騒ぎの喧騒を避けるように、二人はバーカウンターでグラスを傾けている。

ソフィ 「いいじゃない。聞きたいんだから。」

ジャック 「俺の親父も軍人でね。若い頃は空軍のパイロットで、移動になって宇宙軍でもパイロットをやっていた。それに憧れてパイロットになったんだよ。もっとも、俺がパイロットにようやくなった時には、親父は事故で死んじまったけどね。」

ソフィ 「そう・・・・。お母様は?」

ジャック 「俺がパイロットになるって独立したのをキッカケに、親父と離婚したよ。最後に会ったのは親父の葬式の時か?その後はサイド2で・・・」

ソフィ 「ごめんなさい・・・」

ジャック 「気にするな。良くあることさ・・・。」

そういうと、ジャックはバーボンを飲み干し、ロックグラスの氷が「カランッ」と音を立てた。

グレッグ 「よう、二人していい雰囲気になってるとこ悪いが・・・」

ソフィ 「ちょっと、兄さん。別にいい雰囲気じゃないわよ。」

グレッグ 「まぁ、いいや。それよりジャック、妹をよろしく頼むよ。こいつは戦場に行くのは初めてだし、軍っつても研究室みたいなとこしか知らないから。」

ジャック 「あぁ、約束するよ。ちゃんと無事にグレッグのところに帰すって。」

グレッグ(俺のところに返すのは、余計なんだが・・・出来ればそのまま持っててくれれば・・・)

グレッグ 「ところで、ルナ2に持っていく機体なんだが・・・まだ見てないんだろ?」

ジャック 「見ていないどころか、何も聞かされていないよ。量産型とだけしか・・・」

グレッグ 「最終調整をしているから、装甲が付いていない部分もあるが、出来上がってるぜ。試作機とは別のハンガーで組んでるんだが、見に行くか?」

ジャック 「そりゃ、見たいが・・・ここはいいのか?」

グレッグ 「既に誰かがどうこう出来る状態じゃないだろ?」

半数近くが、ところ構わず寝ている。店には悪いがこのまま寝かしておいた方がよさそうだ。

ジャック 「確かに。抜け出してもわからんな。」

キム  「中尉、自分もご一緒させていただけませんか?」

ジャック 「キム?聞いていたのか?」

キム  「自分は18歳なのでお酒飲めませんし・・・あの中に居たら絶対に飲まされるんで、カウンターでオレンジジュース飲んでました。」

グレッグ 「いいじゃないか。どうせ運転手は必要なんだし。」

ジャック 「あぁ、じゃあキム、運転手を頼む。」

・・・・・量産型のハンガーは、やたらとセキュリティが掛かっている。グレッグのIDで通れるが、それだけ重要な機密ということだろう。グレッグがライトを点ける。

グレッグ 「コイツだ。RGM-79、基本的には試作機のRX-78と同じなんだが、量産検討機ということで、いくつかの部品を取り替えてある。装甲の材質も違うしな。コアファイターもなしだ。」

ジャック 「アッチの機体は?」

グレッグ 「あぁ、中距離支援型のRX-77だ。サイド7にもテストで持っていったものとは、若干仕様が変わっているのと、コアファイターはなくしてあるが、装甲はそのままだ。こっちも量産型を開発する案があるが、最優先じゃないからな。」

ソフィ 「じゃあ、この2機をルナ2に持っていくのね?」

キム  「2機・・・2機しかないんですか?」

グレッグ 「ん?無茶言うなよ。ついこの間まではモビルスーツなんて無かったんだぜ。」

キム  「でも、2機ってことは・・・僕の乗る機体がありませんよ・・・・」

ジャック 「キム、まだ誰が乗るかなんて決まっちゃいない。それに、無いものはしょうがない。なぁに、グレッグおじさんがすぐに新しい機体を用意してくれるさ。」

グレッグ 「お、おじさんって、ジャック、お前も一緒だろ。・・・まぁ、今すぐには無理だが、用意しなきゃならんだろうな。」

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