第7話 UC.0079.07.23<ドッグファイト>
上空に光が3つ見える。その光点に向かってコアファイターを走らせる。3つの光点がゆらっと同時に動いた。
ジャック 「アチラもこっちを見つけたな。」
アーロン 「ジャック、どうする?」
ジャック 「向かってくるってことは、民間機じゃないだろう。こっちも識別信号は出しちゃいない。すれ違って戦闘開始(コンバットオープン)だ。」
夜間の空中戦で、お互いが向き合って飛んでいる状況では、確認した瞬間にすれ違っている。ヘタに照準を合わせていたら正面衝突する危険がある。
ウォーレン 「ドップだ!」
すれ違いざまにウォーレンが叫ぶ。
ジャック 「アーロンは輸送機の護衛に戻れ!」
アーロン 「なんで?、3対3だろ!」
ジャック 「増層(ドロップタンク)なしのドップだけで、ここまで来てるんならそれでいい。万が一、ガウから発進していたなら、無線で連絡されている可能性がある。こっちは俺とウォーレンで何とかする。」
ウォーレン 「ジャック!来るぞ。」
ドップが旋回反転して向かってくる。幸いにして輸送機には向かわないらしい。
ジャック 「いいかアーロン、次のすれ違いでそのまま輸送機に向かえ!」
ドップがミサイルを発射する。
ウォーレン 「このっ、ロックオンもせず当たるかよ!」
ウォーレンが機体を傾けてミサイルをよけながら30㎜バルカンを撃つ。右のドップのミサイルポッドに命中し、ドップはすれ違った後、爆発する。
ジャックは正面からの敵の機銃をギリギリでかわしながら、急旋回で後ろを取る体制に入っている。
ジャック 「もらった!」
ドップの後方に付くと同時にロックオン。ミサイルを発射する。
もう1機のドップがジャックの機の後ろを取ろうとする。が、ジャックは機体を横にすると垂直に機体を落下させ、ドップの目の前から消える。あせるドップのパイロットを、ウォーレン機の30㎜バルカンが側面から襲う。30㎜弾がドップのキャノピーを突き破る。
ジャック 「ウォーレン、どう思う?今のドップは・・・」
ウォーレン 「母艦がいるとして、ガウなのか、洋上の母艦なのかか?どっちにしても輸送機に着陸するより、しばらくは少し離れて警戒したほうがよさそうだな。」
ジャック 「洋上なら、この高度へ攻撃はないだろう。ガウだったら・・・」
ウォーレン 「コアファイター(こいつ)では、無理だな・・・」
ジャック 「レーダーも無線も使えるってことは、ミノフスキー粒子の影響が薄いってことだ。見つかりやすいが、見つけやすい。まっ、出てこないことを祈ろう。」
・・・運がよかったのか?ガウ攻撃空母は現れなかった。向こうも帰還する途中の偵察だったのかも知れない・・・偵察機が撃墜されれば、わざわざ敵がいるところには来ないだろう。荷物は無事に宇宙港に着いた。
ジャック 「で、帰りはどうするんだ?護衛のコアファイターも荷物になっちまったし・・・」
ソフィ 「こっちで手配されているって聞いてるんだけど・・・」
荷物がシャトルに搬送されて行く。一人の連邦兵が駆け寄ってくる。
連邦兵 「ジャック=マクダウェル少尉殿でありますか?」
ジャック 「そうだけど?」
連邦兵 「伝令であります。どうぞ」
連邦兵は封筒を手渡すと、敬礼をして走っていった。
ジャック 「はぁ?何だこりゃ?」
ソフィ 「何が書いてあるの?作戦命令書?」
ジャック 「帰りは、軍港から出る軍艦に乗って『ハワイ本島奪還作戦』に参加されたし。だと・・・『帰りにネギと牛乳買ってきて』みたいなノリで作戦命令出されてもなぁ・・・」
ソフィ 「貸して!・・・・先行量産型のモビルスーツ3機を試験的に投入するので、空母アカツキⅡにて受領されたし。尚、ソフィア=フェアレル技術少尉はその実戦データの記録に当たられたし・・・」
ジャック 「何だよ、その先行量産型って?」
ソフィ 「今サイド7に持っていくものとは別の設計で、モビルスーツを連邦陸軍が開発しているって聞いたことがあるわ。」
アーロン 「使えるんですか?それ・・・」
ソフィ 「基本OSは一緒だけど、現物を見ないことには何とも・・・私が一緒に行くって事は、使い物になるかどうかを評価しろってことじゃないかしら?」
ウォーレン 「俺たち、陸軍に貸し出しってことですか?」
地球連邦軍内にも派閥がある。それぞれ、宇宙軍・陸軍・海軍・空軍に分かれていて、その中でも権力争いみたいなものがあるらしい。
ソフィ 「ハワイの軍港には、宇宙港もあるからでしょうね。それが使えれば、ここまで来なくてもよかったわけだし・・・」
ジャック 「しょうがねぇ。とりあえず、作戦がうまくいけば南の島でバカンスだ。」
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