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第11話 UC.0079.09.20<宇宙(そら)へ>

地球連邦軍本部ジャブロー 宇宙船ドック
先のルウム戦役において、数多くの艦艇を失った地球連邦軍は、急ピッチで艦艇の建造を行っていた。
ルウムでの反省を活かし、モビルスーツを運用するための空母としてコロンブス級を空母化したアンティータム級や、マゼラン級に開放型のフライトデッキを追加したトラファルガ級も建造されている。

UC.0079.0918 サイド7でテストを終えた試作機が、ジオンの赤い彗星(シャア=アズナブル少佐)の部隊に襲われ交戦になり、その後情報が入ってこない。

ジャック 「よりによって、赤い彗星とは・・・」

ソフィ  「無事だといいんだけど・・・」

ジャック 「ヴェルツもケンプも優秀なパイロットだ。そう簡単にやられたりしないだろ?」
(・・・・赤い彗星か・・・直接戦ったわけじゃないから、どの程度なのかわからんが・・・)

ジャック 「ココで心配しててもしょうがない。それより、俺たちはどの船で宇宙に上がるんだ?」

ソフィ  「トラファルガ級で、モビルスーツの運用が出来るよう改造艦を用意するって話だったけど、建造が遅れてて、まずはサラミス級のバミューダでルナ2に行くことになってるわ。」

キム  「サラミスってモビルスーツ積めませんよね?」

ソフィ  「カプセルのかわりにカーゴコンテナを取り付けてあるそうよ。」

ジャブロー宇宙港・・・港といっても、ブースターを付けた宇宙艦艇を打ち上げるのでロケット発射場である。地下から打ち上げを行うその施設は、さながらICBMの発射施設のようである。

管制官A 「乗員の搭乗完了。全システム正常。作業員は退避。」
管制官B 「上空進路クリア。航空警戒部隊は出ているな?」
管制官C 「上空警戒部隊より連絡。敵影なし。」
管制官A 「カウントダウン開始、30、29・・・・12、11・・・・4、3、2、GO!」

轟音と共に、サラミス級がゆっくりと上がっていく。徐々に加速がかかり、成層圏を突破していく。
宇宙空間に入り、ブースターが切り離される。

サラミス艦長 「総員、第2戦闘配備で待機。ルナ2からの出迎えが来ているハズだ。」

サラミスのオペレータ 「ランデブー予定ポイントまで距離5000。現在の加速でおよそ15分で接触の予定。」

サラミス艦長 「ルナ2まで1日とちょっと。それまでにジオンのパトロール艦と出会わなければ・・・・」

・・・15分後

サラミスのオペレータ 「前方に艦影2、ルナ2からのサラミスです。」
サラミス艦長 「どうやら、ここまでは無事に来れたな。さすがに3隻のサラミス級を相手なら、ジオンも易々とは仕掛けてこんだろう・・!っ」

次の瞬間、光が前方のサラミス級に向かって数本走る。
その内の1本がサラミス級の左前部の主砲に当たる。

サラミスのオペレータ 「ムサイです!ジ、ジオンのパトロール艦です!ムサイ2!!」
ジャック 「ちっ、ウォーレン行くぞ!モビルスーツで迎撃に出る。敵もモビルスーツを出してくるハズだ。」

ソフィ  「ちょっ、ジャック・・・」

艦長 「いかん、出撃は許可できん。」

ウォーレン 「何でだよ!このままじゃ・・・」

艦長 「貴官らは、ここで機密であるモビルスーツを敵にお披露目してやるというのか?貴官らの任務はルナ2に着いてからだ。ここは我々に任せてもらおう。」

ジャック 「突破出来るとでも?・・・」

艦長 「伊達にルウム戦役以降、ルナ2まで往復している訳じゃない。それに、モビルスーツはカーゴコンテナの中だ。弾薬すら装填されていまい。」

ジャック 「わかった。CICに行く。砲撃は任してくれ、後は任せた。」

艦長 「敵艦に対し、横一文字体系を取る。急げ、2射目が来るぞ!」

サラミス級バミューダが敵艦に対し正面を向く。それに合わせるように2隻のサラミス級も正面を向いた。

艦長 「よーし、各艦全速で敵艦の脇を応射しつつすり抜ける。すれ違うまでは牽制でいい、敵艦の周りに散らせ!すれ違い様に後部主砲で狙う。」

ジャック(なるほど。距離を詰めてモビルスーツを出させないように持ち込もうってことか。ムサイは後方には攻撃出来ないから、損害覚悟で攻撃を仕掛けるんだな?)

ウォーレン 「ジャック、どうするんだ?」

ジャック 「すれ違い様に、敵艦のエンジンを狙え!巡洋艦の全速だ、結構速いぞ。予測射撃だ!」

こちらの予定通り、ムサイはモビルスーツを出すタイミングを失っていた。的を散らすことで、どっちに回避運動を取っていいかわからずオロオロしている。意外と当てようと思っていない攻撃の方が当たるもんだ。どの艦が撃ったのかわからないが、ムサイのメガ粒子砲を直撃する。アッと言う間にムサイは目前に迫っている。

ジャック 「今だ!」

バミューダの後部主砲がムサイのエンジンを打ち抜く。エンジンが爆発したムサイはバランスを崩し、隣のムサイに接触する。

・・・ムサイはこちらを追撃できず、無事に突破することが出来た。

ブリッジに戻ったジャックに、艦長が拍手を送る。

艦長 「さすがにいい腕だな。この艦の砲手として雇いたいくらいだ。」

ジャック 「それより、ルナ2までの推進剤は大丈夫なのかい?それと、カーゴコンテナに直撃されることは考えてなかったろう?」

艦長 「カーゴコンテナをわざわざ敵が狙わないだろう?まず当たらんよ。・・・推進剤の方は・・・・・まぁなんとかなるだろ。」

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第10話 UC.0079.09.14<パーティ>

パーティは大騒ぎだった。
場所はジャブロー施設内のバー(ジャブローは地下にあり、場所もアマゾンなので外に飲みに行くわけにはいかない。基地内にはこういった娯楽の施設も当然ある)を貸切にして、シミュレーションルームの関係者だけのパーティにしたのだが、それが間違いだった・・・せめて頭の固い上官でも居れば、もう少しおとなしく飲むんだろうが・・・

アーロン 「中尉・・・・」

ジャック 「あぁアーロン。飲んでるか?」

アーロン 「聞きましたよ。結婚のことに気を使って、ジャブローに残るようにしていただいたと・・・」

ジャック 「・・・まぁ、ココにいたから安全ということでもないからな。だが、わざわざ戦場に出向く必要もないだろう・・・お前なら、優秀なパイロットを育ててくれそうだしな。」

ウォーレン 「アーロン、飲んれるかぁ~。オマェの結婚もついでに祝うろー。」
アーロン 「・・・・・出来上がってますね・・・・」

ジャック 「すでにヘベレケだな・・・アイツ酒弱かったんだ・・・。まぁそういうことだから、気にするな。」

グレッグ 「ようジャック、飲んでるかぁ。お前さんが主役なんだから・・・」

ジャック 「あぁ、さすがにこの歳であそこまでバカは出来んがね・・・」

目線の先のテーブルの上では、ウォーレンとジャミルが裸踊りを始めている。
グレッグの影に隠れるようにしていたソフィが呟く。

ソフィ 「普段のイメージとは大分違うわね・・・」

ジャック 「パイロットって奴らは、いつ死ぬかわからん生活が普通だからな。戦争中じゃなくても、訓練中に死ぬこともある。その分、騒げる時に騒いでおこうってことさ。まぁ、戦争中で久しぶりってのもあるんだろうけど・・・」

グレッグ 「ルナ2に行ったら、こんなパーティも出来ないんだ。今のうちに楽しんどけ。」

ソフィ 「そうなの?」

ジャック 「あぁ、ルナ2は宇宙で唯一の連邦軍の拠点だからな。その分補給もままならない。パーティの食材よりミサイルや弾薬が優先される。食料なんかはサイド7経由で調達しているが、なかなか簡単には・・・」

ジャック 「それより、明日サイド7に出航するホワイトベースとかいう新造艦。なんで俺たちはアレでルナ2に行かないんだ?」

ソフィ 「さぁ、詳しいことは聞いていないけど・・・どうも幾つかのプロジェクトが、別々に進行しているらしくって。私たちもそのプロジェクトの1つなんだろうけど、あっちのプロジェクトが何のためにテスト機をジャブローに持ち帰るのか聞いていないし・・・ココ以外でも新型モビルスーツを開発してるって噂もあるくらいだから・・・」

ジャック 「まぁ、あの様子じゃあ、明日出航って言われても・・・・」

二人の目線の先に、パンツ一丁でイビキをかいているウォーレンがいる。

ソフィ 「それよりジャックは何故、軍に入ったの?」

ジャック 「んっ?何だよ急に」

お祭り騒ぎの喧騒を避けるように、二人はバーカウンターでグラスを傾けている。

ソフィ 「いいじゃない。聞きたいんだから。」

ジャック 「俺の親父も軍人でね。若い頃は空軍のパイロットで、移動になって宇宙軍でもパイロットをやっていた。それに憧れてパイロットになったんだよ。もっとも、俺がパイロットにようやくなった時には、親父は事故で死んじまったけどね。」

ソフィ 「そう・・・・。お母様は?」

ジャック 「俺がパイロットになるって独立したのをキッカケに、親父と離婚したよ。最後に会ったのは親父の葬式の時か?その後はサイド2で・・・」

ソフィ 「ごめんなさい・・・」

ジャック 「気にするな。良くあることさ・・・。」

そういうと、ジャックはバーボンを飲み干し、ロックグラスの氷が「カランッ」と音を立てた。

グレッグ 「よう、二人していい雰囲気になってるとこ悪いが・・・」

ソフィ 「ちょっと、兄さん。別にいい雰囲気じゃないわよ。」

グレッグ 「まぁ、いいや。それよりジャック、妹をよろしく頼むよ。こいつは戦場に行くのは初めてだし、軍っつても研究室みたいなとこしか知らないから。」

ジャック 「あぁ、約束するよ。ちゃんと無事にグレッグのところに帰すって。」

グレッグ(俺のところに返すのは、余計なんだが・・・出来ればそのまま持っててくれれば・・・)

グレッグ 「ところで、ルナ2に持っていく機体なんだが・・・まだ見てないんだろ?」

ジャック 「見ていないどころか、何も聞かされていないよ。量産型とだけしか・・・」

グレッグ 「最終調整をしているから、装甲が付いていない部分もあるが、出来上がってるぜ。試作機とは別のハンガーで組んでるんだが、見に行くか?」

ジャック 「そりゃ、見たいが・・・ここはいいのか?」

グレッグ 「既に誰かがどうこう出来る状態じゃないだろ?」

半数近くが、ところ構わず寝ている。店には悪いがこのまま寝かしておいた方がよさそうだ。

ジャック 「確かに。抜け出してもわからんな。」

キム  「中尉、自分もご一緒させていただけませんか?」

ジャック 「キム?聞いていたのか?」

キム  「自分は18歳なのでお酒飲めませんし・・・あの中に居たら絶対に飲まされるんで、カウンターでオレンジジュース飲んでました。」

グレッグ 「いいじゃないか。どうせ運転手は必要なんだし。」

ジャック 「あぁ、じゃあキム、運転手を頼む。」

・・・・・量産型のハンガーは、やたらとセキュリティが掛かっている。グレッグのIDで通れるが、それだけ重要な機密ということだろう。グレッグがライトを点ける。

グレッグ 「コイツだ。RGM-79、基本的には試作機のRX-78と同じなんだが、量産検討機ということで、いくつかの部品を取り替えてある。装甲の材質も違うしな。コアファイターもなしだ。」

ジャック 「アッチの機体は?」

グレッグ 「あぁ、中距離支援型のRX-77だ。サイド7にもテストで持っていったものとは、若干仕様が変わっているのと、コアファイターはなくしてあるが、装甲はそのままだ。こっちも量産型を開発する案があるが、最優先じゃないからな。」

ソフィ 「じゃあ、この2機をルナ2に持っていくのね?」

キム  「2機・・・2機しかないんですか?」

グレッグ 「ん?無茶言うなよ。ついこの間まではモビルスーツなんて無かったんだぜ。」

キム  「でも、2機ってことは・・・僕の乗る機体がありませんよ・・・・」

ジャック 「キム、まだ誰が乗るかなんて決まっちゃいない。それに、無いものはしょうがない。なぁに、グレッグおじさんがすぐに新しい機体を用意してくれるさ。」

グレッグ 「お、おじさんって、ジャック、お前も一緒だろ。・・・まぁ、今すぐには無理だが、用意しなきゃならんだろうな。」

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第9話 UC.0079.09.13<独立部隊>

地球連邦軍本部ジャブローの作戦会議室。
ジャックとソフィがその会議室に座っている。2人共呼び出された理由はわからない。

ソフィ 「ジャック、また何かやらかしたんじゃないでしょうね?」

ジャック 「だとすれば、ソフィまで呼び出さないだろう。って、何で、やらかした前提なんだよ。」

髭面の偉いさんが、高官を数人引き連れて入ってくる。連邦軍総司令のレビル将軍だ。2人は立ち上がり敬礼する。

レビル将軍 「あぁ、座ってくれたまえ。・・・さて、2人に来てもらったのは、例のRX計画についてだが・・・」

レビル将軍が指示すると、モニターにサイド7でのモビルスーツのテストの様子が映し出される。

高官の1人 「サイド7でのテストは順調に進んでいる。近日中に新造艦ホワイトベースでジャブローに戻ってくる予定だ。」
もう1人の高官 「そこで、今度は量産機を使った宇宙空間での戦闘データを取る必要がある。」
別の高官 「先日もルナ2所属のパトロール艦隊が、グラナダ宙域でモビルスーツによって全滅させられた。モビルスーツの実戦配備は急務である。」

モニターの映像が切り替わり、不鮮明な映像で、黒いザクにサラミス級が沈められている様子が映る。あわてて高官がモニターの映像を元に戻す。そう、レビル将軍はこの黒い三連星に捕虜にされたのだ。

レビル将軍 「我々は、ようやくモビルスーツの開発に成功したに過ぎない。実戦でモビルスーツの運用をするノウハウが足りないんだよ。」

(まぁそうだろうな・・・この前も出撃せずに終わったくらいだし・・・)

レビル将軍 「そこで、君らにルナ2で実戦データを収集してもらいたい。」

(ルナ2かぁ・・・復隊した時に、ルナ2近海でパトロール隊が、ジオンに攻撃されているのを救出に向かおうとして、総司令官に止められて殴ってるからなぁ・・・)
こちらの顔色を察したのか、レビル将軍が笑いながら話す。

レビル将軍 「アムンゼン中将は退任したよ。今の総司令官はハイアット大将だったかな?安心したまえ。」

ソフィが驚いた顔でこちらを見ている。

レビル将軍 「では、細かい指示はこの後聞いてくれたまえ。私は次の会議があるので、失礼するよ。」

高官達に合わせて、立ち上がり敬礼する。(さすが連邦軍総司令官ってとこか。全部お見通しって感じだな・・・)

高官の1人 「それでは、辞令を渡す。ジャック=マクダウェル中尉、UC.0079.09.18を持って地球連邦宇宙軍、ルナ2所属、第89戦術研究独立部隊に配属を命ず。ソフィア=フェアレル技術中尉、同じくUC.0079.09.18を持って地球連邦宇宙軍、ルナ2所属、第89戦術研究独立部隊に配属を命ず。」

ジャック 「えっ、他のメンバーは?」

高官の1人 「後は、乗艦のクルーはルナツーで配属する。パイロットについては、現在のシミュレーションルームから2名選出せよとのことだ。」
別の高官 「それから、シミュレーションルームは第9教導師団の所属になり、モビルスーツパイロットの育成に使用する。ルナ2への出立は09.20。以上だ。」

命令書を手渡すと、高官達は退室した。俺達も会議室を出る。

ソフィ 「あなたが殴った上官って、アムンゼン中将だったの?」

ジャック 「あぁ、言ってなかったっけ?」

ソフィ 「無茶苦茶だわ!!よりによって基地総司令官を殴るなんて・・・なんでこんな人と同じ部隊に・・・」

ジャック 「運が悪かったと、あきらめるしかないな。」

ソフィ 「・・・それで?パイロットは誰を連れて行く気?」

ジャック 「ウォーレンとキムかな?」

ソフィ 「アーロンじゃないの?」

ジャック 「アーロンは、真面目だし面倒見がいいから、残ってパイロットを育てた方がいいだろ。あいつ来月結婚するって話だし・・・」

グレッグ 「よぉ、2人揃って何の呼出だった?」

ジャック 「あぁ、ルナ2に行って宇宙空間での戦闘データを取って来いってさ。」

グレッグ 「ふーん。まぁ、ジャブローでは宇宙空間のデータは取れないからなぁ。おっ!何だよ、中尉に昇進してるじゃないか?」

命令書を捲りながら、グレッグが肩を叩く。

ジャック 「グレッグ、あんたは一緒に行かないのか?」

グレッグ 「俺の専門はOSだ。ルナ2でやる仕事じゃない。」

ジャック 「そうか・・・」

グレッグ 「そんな顔すんなよ。それより、昇進祝いをやんなきゃな!」

ソフィ 「じゃあ、私は手続きとか色々あるから、パイロットの申請はお願いね。」

ジャック 「グレッグ、パーティは明日にしよう。他のパイロットにも話さなきゃならんし・・・それに、昇進とかあんまり興味がないんで、壮行会ってことでどうだ?」

グレッグ 「まぁ、飲んで騒げりゃどっちでもいいや。」

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第8話 UC.0079.08.03<ハワイ攻略戦>

先行量産型の搬入の遅れなどがあり、1週間程足止めされた後、作戦は開始された。

海のど真ん中の島にある軍港だけを攻略するってことで、海軍さんは張り切ってるらしい。海戦なんて久しぶりだろう。

空母アカツキⅡの格納庫では、先行量産機の最終チェックが行われていた。

ジャック 「チェック終了だ。操縦系は若干違うが、何とかなるだろう。問題は、どうやって上陸するかだな・・・」

アーロン 「まさか、泳いで行くってわけにもいきませんしね?」

ウォーレン 「港に近づくまでは、出番なしですね・・・」

本来は、楽な作戦に思われていた。何せジオンには海上戦力はほとんどないハズだった。

アカツキⅡ艦長 「まさか、潜水艦を用意してるとはな・・・」

キャリフォルニアベースにあった潜水艦を、ジオンは利用しその生産設備で増産していたのである。予想していなかった連邦海軍は、空母2・巡洋艦1・護衛艦3を沈められ、沖合での睨み合いが続いている。

ジオンは海上戦力の代わりに、ガウ攻撃空母を使って、連邦海軍に爆撃とドップ戦闘機による攻撃を加えている。向こうは防衛が目的なので深追いはしない。港が攻撃できない距離での攻防が10時間以上続いている。

艦隊指令 「諸君、遺憾ながら戦力を消耗し過ぎた。本作戦を終了し一時撤退する。」

ウォーレン 「えー、終わりかよ。俺達、格納庫の中から出てないぜ?」

ジャック 「まぁ、格納庫の中に居たまま沈められなかっただけでもマシだと思うしかないな?」

アカツキⅡ艦長 「諸君ら、すまない。お詫びというわけではないが、ジャブローの近くの港まで運ばせてもらうよ。」

船旅が1週間追加になり、南の島のバカンスは夢と消えた。

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第7話 UC.0079.07.23<ドッグファイト>

上空に光が3つ見える。その光点に向かってコアファイターを走らせる。3つの光点がゆらっと同時に動いた。

ジャック 「アチラもこっちを見つけたな。」

アーロン 「ジャック、どうする?」

ジャック 「向かってくるってことは、民間機じゃないだろう。こっちも識別信号は出しちゃいない。すれ違って戦闘開始(コンバットオープン)だ。」

夜間の空中戦で、お互いが向き合って飛んでいる状況では、確認した瞬間にすれ違っている。ヘタに照準を合わせていたら正面衝突する危険がある。

ウォーレン 「ドップだ!」

すれ違いざまにウォーレンが叫ぶ。

Dscf0283

ジャック 「アーロンは輸送機の護衛に戻れ!」

アーロン 「なんで?、3対3だろ!」

ジャック 「増層(ドロップタンク)なしのドップだけで、ここまで来てるんならそれでいい。万が一、ガウから発進していたなら、無線で連絡されている可能性がある。こっちは俺とウォーレンで何とかする。」

ウォーレン 「ジャック!来るぞ。」

ドップが旋回反転して向かってくる。幸いにして輸送機には向かわないらしい。

ジャック 「いいかアーロン、次のすれ違いでそのまま輸送機に向かえ!」

ドップがミサイルを発射する。

ウォーレン 「このっ、ロックオンもせず当たるかよ!」

ウォーレンが機体を傾けてミサイルをよけながら30㎜バルカンを撃つ。右のドップのミサイルポッドに命中し、ドップはすれ違った後、爆発する。
ジャックは正面からの敵の機銃をギリギリでかわしながら、急旋回で後ろを取る体制に入っている。

ジャック 「もらった!」

Photo

ドップの後方に付くと同時にロックオン。ミサイルを発射する。

もう1機のドップがジャックの機の後ろを取ろうとする。が、ジャックは機体を横にすると垂直に機体を落下させ、ドップの目の前から消える。あせるドップのパイロットを、ウォーレン機の30㎜バルカンが側面から襲う。30㎜弾がドップのキャノピーを突き破る。

Dscf0303 3機のドップは、あっという間に片付けられた。

ジャック 「ウォーレン、どう思う?今のドップは・・・」

ウォーレン 「母艦がいるとして、ガウなのか、洋上の母艦なのかか?どっちにしても輸送機に着陸するより、しばらくは少し離れて警戒したほうがよさそうだな。」

ジャック 「洋上なら、この高度へ攻撃はないだろう。ガウだったら・・・」

ウォーレン 「コアファイター(こいつ)では、無理だな・・・」

ジャック 「レーダーも無線も使えるってことは、ミノフスキー粒子の影響が薄いってことだ。見つかりやすいが、見つけやすい。まっ、出てこないことを祈ろう。」

・・・運がよかったのか?ガウ攻撃空母は現れなかった。向こうも帰還する途中の偵察だったのかも知れない・・・偵察機が撃墜されれば、わざわざ敵がいるところには来ないだろう。荷物は無事に宇宙港に着いた。

ジャック 「で、帰りはどうするんだ?護衛のコアファイターも荷物になっちまったし・・・」

ソフィ 「こっちで手配されているって聞いてるんだけど・・・」

荷物がシャトルに搬送されて行く。一人の連邦兵が駆け寄ってくる。

連邦兵 「ジャック=マクダウェル少尉殿でありますか?」

ジャック 「そうだけど?」

連邦兵 「伝令であります。どうぞ」

連邦兵は封筒を手渡すと、敬礼をして走っていった。

ジャック 「はぁ?何だこりゃ?」

ソフィ 「何が書いてあるの?作戦命令書?」

ジャック 「帰りは、軍港から出る軍艦に乗って『ハワイ本島奪還作戦』に参加されたし。だと・・・『帰りにネギと牛乳買ってきて』みたいなノリで作戦命令出されてもなぁ・・・」

ソフィ 「貸して!・・・・先行量産型のモビルスーツ3機を試験的に投入するので、空母アカツキⅡにて受領されたし。尚、ソフィア=フェアレル技術少尉はその実戦データの記録に当たられたし・・・」

ジャック 「何だよ、その先行量産型って?」

ソフィ 「今サイド7に持っていくものとは別の設計で、モビルスーツを連邦陸軍が開発しているって聞いたことがあるわ。」

アーロン 「使えるんですか?それ・・・」

ソフィ 「基本OSは一緒だけど、現物を見ないことには何とも・・・私が一緒に行くって事は、使い物になるかどうかを評価しろってことじゃないかしら?」

ウォーレン 「俺たち、陸軍に貸し出しってことですか?」

地球連邦軍内にも派閥がある。それぞれ、宇宙軍・陸軍・海軍・空軍に分かれていて、その中でも権力争いみたいなものがあるらしい。

ソフィ 「ハワイの軍港には、宇宙港もあるからでしょうね。それが使えれば、ここまで来なくてもよかったわけだし・・・」

ジャック 「しょうがねぇ。とりあえず、作戦がうまくいけば南の島でバカンスだ。」

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第6話 UC.0079.07.22<輸送任務>

先週は、モビルスーツの試作機の完成パーティがあった。
開発者のテム=レイとかいう眼鏡のおっさんが、「このガンダムが量産されたあかつきには、戦争は終わります。」とか言って、騒いでいたっけ。
グレッグの話では、そのガンダムってモビルスーツはとても量産できるコストじゃないから、これからコストダウンした量産機の開発に入るらしい・・・
まぁ、どっちにしても俺達には量産されて実戦配備されないことには関係のない話だが・・・

ソフィ 「ジャック、ちょっといいかしら?」

ようやく最近になってソフィも「ジャック」で呼んでくれるようになった。まぁ、アニキの影響が大きいんだろうが・・・

ジャック 「あぁ何だい?」

ソフィ 「実は、完成した試作機なんだけど・・・」

ジャック 「あぁ、確かサイド7に持って行ってテストするんだろう?」

ソフィ 「えぇ、そうなんだけど、その為には民間の貨物船でサイド6経由で運ばないといけないのよ。」

ジャック 「随分面倒な手順を踏むんだな?」

ソフィ 「仕方ないでしょ、秘密裏にテストを行うためにサイド7に運ぶんだから、堂々と軍艦で運ぶわけにはいかないでしょう。それに、宇宙はほとんどジオンの支配下なのよ。」

ジャック 「それで?」

ソフィ 「いくつかのパーツに分解して、輸送機で宇宙港まで運ばなきゃいけないんだけど・・・護衛機が付けられないのよ。だから・・・」

ジャック 「・・・・だから?」

ソフィ 「コアファイターを一緒に積んでいって、敵と遭遇した場合の護衛をお願いしたいの。」

(・・・・アレで護衛をねぇ・・・30㎜バルカンと内蔵ミサイルが4発の護衛機じゃ、ないよりマシってレベルだな・・・)

ジャック 「何機で護衛するんだ?アレでは、敵機が多いと護衛にも限界があるぞ。」

ソフィ 「使えるのは3機だけ。その3機も一緒に宇宙に上げるんだけど・・・」

ジャック 「・・・・じゃあ、落とされるわけにはいかないってことか。・・・パイロットはアーロンと・・・ウォーレンだな。あいつらは空軍上がりで腕も立つ。」

ソフィ 「パイロットの選定は任せるわ。3時間後の20時に出発だから。」

・・・約5時間後・・・・

輸送機パイロット 「間もなく連邦制空権を出ます。」

ソフィ 「警戒を厳に!コアファイター、どうなってます?」

ジャック 「いつでもどうぞ!。どうせなら、いいかげん外に出して欲しいがね。」

・・・その1時間半後・・・

輸送機パイロット 「レーダーに感あり!識別コード不明。どうします?」

ソフィ 「・・・民間機の可能性もあるわね・・・」

輸送機パイロット 「こちらがレーダーで捉えているってことは、向こうも見つけている可能性が高いですよ。」

ジャック 「とりあえず、出せ!万が一敵機だったら、間に合わん。」

ソフィ 「・・・いいわ。ハッチオープン!」
輸送機パイロット 「格納庫ハッチ解放。・・・ロックアーム解除。」

コアファイターは、箱型のまま回転しながら空中に放り出される。翼が開くと回転は納まり機首が跳ね上がる。

Photo_1

ジャック 「的はどっちだっ!」

ソフィ 「11時方向!」

コアファイターは夜の空を切り裂き上昇していく。

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第5話 UC.0079.06.11<コアファイター>

ジャブローに着任して一ヶ月が過ぎようとしていた。
この一ヶ月でシミュレータの数は10機に増えたが、パイロット候補生の数も増え、シミュレータは不足している状態だ。まぁ、最初の頃からいる俺たちは、新しいシミュレーションパターンが追加されない限り、使う必要もないんだが・・・。
グレッグの話では、モビルスーツの方は基本設計は完了し、ほぼ形になってきたと言っていた。後はOSの再調整で、徹夜続きだともぼやいていた。
モビルスーツは完成したら、基本テストを秘密裏に行うために、サイド7に試作機を持っていくらしいが、グレッグはジャブローに残って量産機の開発に入ると言っていた。

グレッグが眠そうな顔で頭を掻きながら歩いてくる。

グレッグ 「さっきお偉いさんが話してたんだが・・・テストパイロットはヴェルツ中尉とケンプ少尉、キタムラ曹長を予定しているらしい。」

ジャック 「ほぅ。まっ無難なとこだな。」

グレッグ 「ジャック、俺はパイロットとしてはお前さんの方が優秀だと思うんだが・・・。どうも、お偉いさんのウケは悪いみたいだな。」

ジャック 「別に今に始まったことじゃないしね。テストパイロットって柄じゃないし・・・そんなことより、忙しいんじゃないのかい?」

グレッグ 「あぁ、一通りは片付いたよ。で、お前さんに頼みがあってな。」

グレッグは、あっちへと親指で合図して歩き出した。一緒に歩きながら会話を続ける。向かう先は隣のモビルスーツ試験を行っているハンガーだ。

ジャック 「んっ?俺に頼み?金ならないぞ!」

グレッグ 「んなこたぁ、わかってるよ!実は、コクピットシステムに小型の戦闘機を使うって言い出しやがって・・・試作機が出来てるんで、使い物になるか試してもらいたいんだよ。」

FF-X7:コアファイター 何でも箱型に変形して、モビルスーツの胴体に納まる小型の戦闘機だそうだ。小型機のクセに熱核ジェットロケットエンジンを搭載していて、結構な推力があるようだ。

ジャック 「これか?その試して欲しい戦闘機ってのは。」

グレッグ 「そうだ。単体の戦闘機としてそれなりの性能じゃないと、意味がないらしい。何でも脱出カプセルがわりになるらしいからな。本物の戦闘機乗りの意見を聞かせて欲しい。」

ジャック 「ふーん、まっいいや。ここんとこシミュレータばっかりで、たまには実機に乗りたかったとこだし・・・」

グレッグ 「基本的な操縦系は、今までのシミュレータと一緒だ。まっ、モビルスーツのコクピットになるんだから、当然なんだが・・・」

ジャブローは、地下に施設があるため、エレベーターで移動して外部へ通じる滑走路へ出る。滑走路といってもカモフラージュされた地下にあり、発進時に出入口のハッチが開く。

ジャック 「コントロール、こちらFFX-7試験機。今から上昇テストを開始する。」

「コントロールよりFFX-7。了解した。一応、連邦の制空権内とはいえ注意されたし。」

ジャック 「了解。発進する。V1、VR・・・V2!」

ハッチから飛び出したコアファイターは上昇を開始する。

ジャック 「9500・・10000・・・10500・・・・11000・・・・、機体各部異常なし。降下して運動性を試してみるか?」

コアファイターを急降下させながら、左右に旋回させる。

Dscf0285

ジャック 「変形するって言ってたが、意外と機体強度はあるみたいだな。」

「コントロールよりFFX-7。ジオンの定期便が来た様だ。至急帰還されたし。」

ジオンの定期便・・・ジオン軍のキャリフォルニアベースからの爆撃部隊だ。

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第4話 UC.0079.01.16<ビーム兵器>

どれ位の時間気を失っていたのだろう・・・・
日付は翌日になっていた。
吹き飛ばされたおかげで、戦闘空域から外れた場所にいるようだ。
まだ戦闘は続いているようだが、勝敗は決していた。
弾薬を使い果たしたであろうザクが、敵艦隊へ引き上げていく。
連邦宇宙軍は、その数によって全滅はしなかったもののあきらかに惨敗だ。
救命ランチが近づいてくる。

「おい、生きてるか?」

ジャック 「あぁ、何とかね・・・。」

その後、一ヶ月の病院生活の後、復隊してみるとジオンは地球降下作戦を開始していた。
戦場は地上に移り、ルナツーから散発的に、地球降下部隊に対する降下妨害の攻撃を行う程度の任務しかなかった。戦力の少なくなった連邦宇宙軍が出来る、唯一の抵抗だったのだろう。

ジャック 「で、いきなり辞令でジャブローに来いって言われて、ここにいるってわけだ。」

アーロン 「でも変ですね?ザクを2機も撃墜したんなら、もうちょっと評価されて大尉くらいに昇進しそうですが・・・」

ジャック 「あぁ、復隊した時の上官があんまりムカツク奴だったんで・・・ぶん殴ってやった。」

ソフィ 「!!」

グレッグ 「プッ、ハハハハ、少尉、あんたとは気が合いそうだ。」

ジャック 「じゃあ、アンタも?」

グレッグ 「あぁ、開発を急ぐからジオンのOSをそのまま使えって上官に、頭にきてケリ入れた。おかげで妹の部下に格下げだ。」

グレッグ 「本来ならクビにしたかったんだろが、俺の作ったOSが優秀だったんでね。」

ソフィ 「さぁ、無駄話はこれくらいにして試験を再開します。・・・兄さんも持ち場に戻って。」

ソフィ 「では、マクダウェル少尉も3号機のシミュレータに搭乗してください。チュートリアルモードに切り替えますから。」

ジャック 「そのままでいいよ。操縦方法はさっきので大体わかったし。後は習うより慣れろってね。」

ソフィ 「・・・では、1号機はケンプ少尉、2号機にキタムラ曹長、3号機はマクダウェル少尉で試験を再開します。」

シミュレータのコクピットに座る。
シートの両脇にはレバーがあり、こいつで方向を制御するらしい。主にモビルスーツの腕と連動して動くようだ。レバーにはボタンがあり武装による攻撃に使用する。
足元には左右にペダルがあり、こっちは足と連動するらしい。宇宙空間では脚部のスラスターの制御といったところか?
後は、左にスロットルレバーと、航空機と同じような操縦桿がある。これで上下方向と左右へのロールを行う。

ソフィ 「それでは試験を再開します。シミュレーションパターンはC-5、敵モビルスーツとの遭遇戦。」
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ジャック 「ザクが2機か・・・まずは最大加速で回り込むか・・」

スロットルレバーを入れて、ペダルを踏み込む。
一気にザクが近づいて来る。スロットルをニュートラルに戻し、ザクの左側に回りこむ。
ロックオンした。発射ボタンを押すと、ビームのようなものが画面の下からザクに向かって発射された。

ジャック 「んっ?ビーム兵器?」

ソフィ 「えぇ、開発中のモビルスーツには、ビーム兵器を想定しています。」

ザクは直撃は避けたものの、左腕に命中しバランスを崩している。再び発射ボタンを押すと、今度は直撃した。もう1機のザクが左に回り込もうとする。

ジャック (ビーム兵器って、どんな大きさになるんだ?・・・しかもこんな連射が出来るのか?)

もう1機のザクに対し、機体を回転させながら下に回りこむように操作し、ロックオン。ザクに命中し直撃。

「シミュレーション終了」の文字が画面に表示される。

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第3話 UC.0079.01.15<ルウム戦役>

サイド5 通称ルウム・・・
連邦宇宙軍内はピリピリしていた。
一週間前のジオン軍のコロニー落としによって30億人が死亡し、それを阻止出来なかった連邦宇宙軍に対する批判は集中した。
だが、スペースノイドの自立を掲げたジオン公国が、コロニーの住民を犠牲にしたことで、各コロニーからはジオンに対する反発も強くなっていた。
そして、今またジオン軍が、サイド5のコロニーを使ってコロニー落としをするという情報が入ったからだ。・・・今度負ければ、連邦軍の信用は失墜するであろう。

戦端は艦隊戦によって開かれた。連邦軍艦隊は、その圧倒的な数と火力でジオン軍艦隊を殲滅する予定だった。
俺たちは、艦隊の後方のコロンブス級輸送艦の中で待機していた。敵艦隊が戦闘機を発進させた場合、迎撃するのが、今回の任務だ。だが、さすがに敵艦隊の3倍の戦力を有する今回の戦闘では、俺たちの出番はほとんどないかも知れない。

そう思っていた矢先に、敵機接近の警報が鳴り響く。

(・・・どういうことだ?艦隊戦の真っ只中を戦闘機が突っ切ってきたっていうのか?それとも別働隊がいたのか?)

押していたハズの連邦軍の艦艇が前方から次々と沈められていく・・・

(・・・何が起こっている?・・・)

スクランブル発進の合図で、セイバーフィッシュ隊が発進していった。そして我が目を疑った。
・・・人が戦艦を攻撃して撃沈している?・・・あれは、人じゃない!巨大な人型が戦艦を沈めていた。

モビルスーツと呼ばれる兵器だ。先のコロニー落としでも、その存在は確認されていたらしい。だが、実際に目にするのは初めてだ。

「ガガッ・・パープルワ・・ザッ・・・・仕掛ける・・」

先行したセイバーフィッシュ3機が攻撃を仕掛ける。ミノフスキー粒子の影響で通信が聞き取りにくい。
サラミス級に向かって、マシンガンを撃とうとしているザクにミサイルを発射する。が、ミサイルはホーミングせず真っ直ぐにザクの脇をかすめていく。
Owabi






「ザッ・・サイルが、当たらな・・ガッ・・うわぁー・・・」

ザクは、マシンガンをセイバーフィッシュに向かって撃ち、1機が撃墜される。
もう1機がザクの横をすり抜けようとした時、ザクは斧のような武器でセイバーフィッシュに斬りつける。片翼を切断されたセイバーフィッシュは、きりもみ状態でコントロールを失いサラミス級に激突し、爆発した。

気が付けば艦隊のほとんどの艦艇が、敵艦への砲撃よりもモビルスーツへの対空砲火を行っていた。だが、ザクはその対空砲火をすり抜け、接近し攻撃を仕掛けている。

もう1機のセイバーフィッシュが、25㎜機銃でザクに攻撃を仕掛けるが、ほとんどダメージを与えられない。今度は、マシンガンのストックで叩き潰される。今までの戦闘機での戦いの概念では、考えられないことだった。

ジャック 「チッ、どうにかミサイルを当てるしかないってことか・・・」

そう呟くと、ミサイルの2・3・4・5のホーミングを完全にOFFに切替え、ザクに向かっていく。
ザクはこちらに気付いたように、モノアイを光らせ、マシンガンを構える。
マシンガンの銃口が光るのと同時に、セイバーフィッシュの機体を旋回させ横に滑らせながら、ミサイル1を発射する。ミサイル1は、ホーミングせず先ほどと同様にザクの脇をかすめていく。

ジャック 「これならどうだ!」

そのまま機体をきりもみ状態にし、ザクに直進しながらミサイル2・3・4・5を一斉に発射する。
4発のミサイルのうち、2発がザクの右肩と胴体の左下に命中する。

ジャック 「うおぉーー!曲がれーっ!」

きりもみ状態から強引に引き起こして、ザクに激突する寸前でサイバーフィッシュは向きを変える。その直後、ドンッという爆発の衝撃が機体を襲う。
ザクは、右腕がちぎれ飛び、胴体が爆発によって後方へと弾かれていた。そしてサラミス級に激突し、跳ね返って動かなくなった。

(どうやら敵は、ミサイルがホーミングしないことを知っているようだ。それが油断につながった。)

ジャック 「よっしゃぁー。次は?」

キャノピー越しに辺りを見渡すと、既に後方のコロンブス級をも巻き込んだ乱戦状態になりつつある。

ジャック 「?!」

次の瞬間、機体を巨大な銃弾がかすめる。右のサラミス級の爆発を乗り越えるようにして、新たなザクがバズーカを撃ってくる。次の瞬間、爆風がセイバーフィッシュの機体を包む。近接爆発の信管を使っているようだ。
セイバーフィッシュのスピードのおかげで、爆風の直撃は避けられた。

ジャック 「このぉー!」

ザクに向かって、25㎜機銃を撃つ。ダメージを与えられないことは知っている。が、相手に攻撃をさせない牽制くらいにはなるハズだ。
相手のザクも、バズーカのような大きな武器では戦闘機には不利と見たのか、左手には斧のような武器を構えて、右肩のシールドで25㎜機銃の弾を受けている。

(どうする?ヤツもバズーカは戦艦用の装備だろう。このまま撃たなければ、ミサイルをシシールドで防がれたら、あの斧の餌食だな・・・。ミサイルを避けられない距離まで接近しない限り、こっちに勝ち目はない。・・・やるしかない!)

覚悟を決めて、残りのミサイルのホーミングを全てOFFにする。25㎜機銃は撃ち続けたままだ。弾切れになる寸前、機体を振ったことで着弾がそれてザクのモノアイを打ち抜く。
敵はパニックになったのか、バズーカを構えて撃ってきた。こっちもパニックになりながら、間一髪バズーカの弾道を避けてミサイルを全弾発射する。どこに何発当たったかはわからない。数発のミサイルが爆発し、ザクの体が爆発の光に包まれている。
その光を避けた瞬間、ガクッと機体に衝撃が走る。
爆発したザクの手を離れて、宙を彷徨っていた斧が機体左下のブースターに食い込む。
プロペラントが噴出し、機体はコントロールを失う。先ほどまでの機体のダメージが一気に顔を出し、機体は分解を始める。

ジャック 「くっ、ここまでか!」

脱出装置を作動させるが、キャノピーが吹き飛んだだけで、シートが射出されない。飛び降りるしかない・・・
(・・・上も下もない宇宙空間で、飛び降りるってのも変だな?)
非常事態の割りに人間はくだらないことを考えるもんだと、思いながらも内心は恐怖で一杯だった。戦闘スピードで飛んでいる戦闘機から、飛び降りなければならないのだ。
飛び降りた瞬間、セイバーフィッシュは爆発し、その爆風で吹き飛ばされた俺は気を失った。

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第2話 UC.0079.05.17<シミュレーター>

AM08:30
「ピピッ、ピピッ、ピピッ・・」
呼出音の後、スピーカーのスイッチがONになり、女性仕官の声が響く。

女性仕官 「マクダウェル少尉、よろしいでしょうか?」

ジャック 「起きてるよ。」

モニターがONになり、女性仕官の顔が映し出される。

女性仕官 「早速ですが、シミュレーションルームの準備が出来ていますので、30分後にB-2ブロックのシミュレーションルームまでいらっしゃって下さい。」

ジャック 「了解した。B-2ブロックだな?」

女性仕官 「はい、ではお願いいたします。」

20分後、シミュレーションルーム。

ジャック 「ここか?」

コクピットらしきものにフードが取付けられ、正面とサイドにモニターが見える。横と後ろが開いているので、まるでゲームセンターのようだ。それが3機並んでいる。
ゲームセンターと違うのは、その機械からやたらとケーブルが出ているところぐらいか・・・
覗き込んで、コクピットの操縦系を見てみる。確かに、どちらかと言えばというより、まるっきり戦闘機のコクピットに近い。

程なくして、先ほどの女性仕官とパイロットらしき数人が入ってくる。

女性仕官 「マクダウェル少尉ですね。ソフィア=フェアレル技術少尉です。」

ジャック 「あぁ、ジャックでいいよ。それでアレがシミュレーターって奴かい?」

ソフィ  「えぇ、そうです。マクダウェル少尉殿。」

(どうやら、お堅いタイプのようだ。まぁ、ジャブロー本部に勤務している連中なんてエリートばっかりだろうしな・・・)

ソフィ  「こちらは、一週間前からシミュレーターを使用しているケンプ少尉、アーロン曹長、キタムラ曹長、ジャミル伍長です。」

ソフィ  「それでは、早速ですがシミュレーター試験を開始します。マクダウェル少尉は初めてですので、操作方法を覚えるために見学していただきます。ケンプ少尉は1号機、アーロン曹長は2号機、ジャミル伍長は3号機。」

シミュレーターの電源が入れられ、正面と左右のモニターに宇宙空間が映し出される。
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ジャック 「さっきコクピットを見たが、ほとんど戦闘機のそれと変わらないようだったが、あんなもんで人型をコントロール出来るのかい?曹長。」

キタムラ 「えぇ、実際の細かい制御はコンピュータが判断するのだそうですよ。ジオンのザクも似たようなもんらしいです。ちょっと複雑なゲーム機程度ですよ、マクダウェル少尉。」

ジャック 「ジャックでいいよ。・・・で、なんで宇宙空間なんだ?これなら宇宙戦闘機と変わらないと思うんだが・・・」

キタムラ 「さぁ、そこまでは・・・」

ソフィ  「もちろん、地上でのシミュレーションも行います。現状では試作機が完成していないので、機体重量による重力下での影響値が未定のため、宇宙空間でシミュレーションしています。」

まるで、その位常識でしょう?と言わんばかりの勢いでソフィが割って入った。

ソフィ  「モビルスーツは、機体の姿勢制御にAMBAC(アンバック)を利用します。戦闘機とは全く異なった操縦性になります。このシミュレーターは隣の工場にある実際の手足につながっていて、その反応でフィードバックされています。更に、現在予定されている機体各部の姿勢制御バーニアの推力も計算されて、」

ジャック 「わかったよ。要するに単なるゲーム機ではないってことだろう?」

ソフィ  「・・・・。」

ジャミル 「くそっ、横に回りこんだザクをロックオンしようとしたら、機体が一回転しやがった!。また制御プログラムのバグかぁ?」

整備兵 「バカヤローっ!レバーを急に入れすぎだっ。制御のせいにするんじゃねぇよ。」

整備兵がインカムを床に叩きつけて、シミュレーターの方に歩いてくる。

整備兵 「いいかっ、横の敵機に対しては、ロックオンを切り替えてからレバーを入れるか、もっと丁寧にレバーを入れて正面のモニターに捉えてからじゃないと、機体がどっちを狙えばいいかわからないだろうがっ!」

(まるで、ゲームセンターの何とか名人みたいな台詞だな・・・まぁ、言ってる理屈は正しいんだろうが・・・)

ソフィ  「ちょっと兄さん・・・」

整備兵 「何だよ。・・・あぁ、」

整備兵は、姿勢を正すとこちらに向かって敬礼をした。

整備兵 「失礼しました。グレッグ=フェアレル曹長であります。」

(・・・ん?フェアレル??さっき「兄さん」って言ったよな?)

ソフィ  「私の兄で、モビルスーツのOSの開発を担当しています・・・」

バツが悪そうに、紹介される。

ジャック 「あぁ?よろしく。」
(それにしても、妹と違ってコチラはお堅いタイプではなさそうだな・・・というより正反対な気が・・・。にしても、妹が技術少尉で、兄が曹長って、連邦のお偉いさんも惨いことを・・・)

グレッグ 「少尉の噂は聞いていますよ。ルウムでザクを撃墜したって・・・」

握手を求めながら、グレッグは興味津々の顔をしている。

キタムラ 「あっ、自分も聞いております。セイバーフィッシュでザクを撃墜したって・・・」

(なんだ?この展開は・・・)

グレッグ 「ぜひ、今後の開発の参考になりますので、その時の状況を。」

ジャミル 「自分も聞きたいであります。」

いつの間にか、他のパイロットまでシミュレーターを降りて集まって来ている。

ジャック 「あんまりいい思い出じゃないんだがね。」

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第1話 U.C.0079.05.16<モビルスーツ>

ジオン軍は、2月に地球降下作戦を開始し、地上戦においてもモビルスーツは地球連邦軍の兵器を凌駕した。
結果、全大陸の2/3をジオン軍の支配下に置かれたが、その後は拡大しすぎた戦線のため、両軍とも決定打をなくし、戦争は膠着状態に入った。

ジャブロー・・・・南米大陸、アマゾンに建設された地球連邦軍の本拠地である。

ジャブロー司令部の高官の部屋。着古したあまり洗濯してませんという軍服を着た軍人が部屋に入る。

ジャック 「ジャック=マクダウェル少尉、入ります。」

司令官 「少尉、ようこそジャブローへ。君の戦歴は聞いているよ。先のルウム戦役では、セイバーフィッシュでザクを撃墜し、あの戦闘を生き残った・・・」

ルウム戦役・・・連邦軍の艦隊の50%を失い、ジオン軍の一つ目(モビルスーツ・ザク)に仲間のほとんどを殺されたあの戦い・・・

司令官 「どうだね、ジャブローは。君はコロニー育ちで地球は初めてだろう。この4ヶ月もルナツー勤務で、地球の重力には慣れたかね?」

ジャック (・・・このオッサン、喧嘩売ってるのか?連邦軍の偉いさんは、コロニー生まれに偏見を持ってるってのは本当だな。・・・まぁ、着任早々だし、ここは我慢しとくか・・・)

司令官は、高級そうな革張りの椅子に座り、資料を捲りながら話をしているので、一瞬チッという顔をしたところは見ていない。

ジャック 「えぇ。それで、わざわざそのルナ2からジャブローに呼ばれた任務ってのは?」

司令官 「うむ。我が軍もモビルスーツの開発に着手したことくらいは、君も聞いているだろう。」

ジャック (・・・いや、初耳だ。この戦況を考えれば、モビルスーツに対抗できるのはモビルスーツしかないことくらいは、誰でもわかる。しかし、連邦軍の体制を考えると、早い対応だと思える。・・・それと、俺の任務とどういう関係があるんだ?)

返事をしないジャックに司令官は続ける。

司令官 「一応、鹵獲したザクをベースに、基本設計から見直しを行っている段階なんだが・・・」

司令官がリモコンでモニターを点ける。画面にはどこかの工場のようなところで、ロボットのような機械の腕だけがあり、指や肘が動いている。
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<モニターに映されたR&R-M322>


司令官 「まだまだ試作機を作る段階にもなっていないんだが・・・」

ジャック 「ちょっと待ってくださいよ。俺いや自分はパイロットで、そんな技術屋みたいなことは・・・」

司令官 「はっはっは、わかっておるよ。誰も君に技術屋をやれとはいっておらんだろう?」

ジャック 「では?・・」

司令官 「形にはなっとらんが、操縦系のシミュレータは出来上がっている。それを君が操縦して、そのデータを開発部隊が利用する。そのデータをまたシミュレータにフィードバックする。という訳だ。」

ジャック 「はぁ・・・しかし、自分は戦闘機乗りですよ。モビルスーツの操縦なんて・・・」

司令官 「連邦軍にモビルスーツのパイロットなぞ、一人もおらんよ。だからこそ、戦闘機乗りが扱えるようなモビルスーツを造らなければならん。そこで、モビルスーツとの戦闘経験もある君が選ばれた。」

司令官 「それと・・・モビルスーツのパイロットの育成もしなければならないので、君以外に数人のパイロットも、シミュレータでの開発に当たる。よろしくな。」

ジャック 「はっ、では失礼します。」

敬礼をして、部屋を後にして思った。
・・・確かにモビルスーツの開発が急務なのはわかるが・・・戦場からパイロットを引き抜いて、戦局を理解しているんだろうか?

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序章

人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって既に半世紀。
地球の周りの巨大な人工都市は、人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。

宇宙世紀0079、地球に最も遠い宇宙都市「サイド3」は「ジオン公国」を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
この1ヶ月あまりの戦いで、ジオン公国と連邦軍は、総人口の半分を死に至らしめ、人々は自らの行為に恐怖した。

0079.01.15 サイド5ルウム宙域にて、連邦軍は全艦隊の50%を喪失し、壊滅的な打撃を受けた。
その後、ジオン軍は地球降下作戦を展開し、戦場は宇宙から地上へと移行していった。

地球連邦宇宙軍は、その拠点をルナツーしか持たない孤立状態になった。

そして、09.18 サイド7にて重力下でのテスト中だったV作戦のガンダムが、ザクと戦闘になり、ホワイトベースは民間人を乗せたまま、09.20にルナツーに入港。09.22にルナツーから、地球のジャブローへと向かう。

現在の主戦場が地球である以上、重力下でのモビルスーツの開発は急務であった。
しかし、やがてジオンとの決戦を行うのであれば、それは間違いなく宇宙である。
そこで、ホワイトベースとは別に、宇宙空間での戦闘データの収集と、連邦軍にとって未知の兵器であるモビルスーツの戦術的運用を模索する必要があった。

これは、「機動戦士ガンダム」では語られなかった戦術研究部隊の話である。

ジオン用

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